川沿かわぞい)” の例文
この川沿かわぞいは、どこもかしこも、蘆が生えてあるなれど、わし小家こいえのまわりには、またいこう茂ってござる。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
岡本の住居すまいは藤井の家とほぼ同じ見当けんとうにあるので、途中までは例の川沿かわぞいの電車を利用する事ができた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
津田のうちからこの叔父の所へ行くには、半分道はんぶんみちほど川沿かわぞいの電車を利用する便利があった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
馬士まごにも、荷担夫にかつぎにも、畑打はたうつ人にも、三にんにんぐらいずつ、村一つ越しては川沿かわぞい堤防どてへ出るごとに逢ったですが、みんなただ立停たちどまって、じろじろ見送ったばかり、言葉を懸ける者はなかったです。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)