嵐弦らんげん)” の例文
また、その山毛欅が枝をはっている下をのぞくと、気のちぢむような断崖だんがいだ。はばはせまいが、嵐弦らんげんたきとよぶ百しゃくほどの水がドウッと落下らっかしている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さんざん逃げまわった蛾次郎は、ついに、とんでもない危地きちに自分からかけこんでしまった。そこは、嵐弦らんげんたきがけッぷちで、あきらかなゆきどまりである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、嵐弦らんげんたき深湍しんたんに、白い水のおどりあがったのが見えた。そして、しばらくはえぬ泡沫ほうまつの上へ、落葉樹らくようじゅの黄色い葉や楢のがバラバラとってやまなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)