山茱萸やまぐみ)” の例文
さて、店を並べた、山茱萸やまぐみ山葡萄やまぶどうのごときは、この老鋪しにせには余り資本がかからな過ぎて、恐らくおあしになるまいと考えたらしい。で、精一杯に売るものは。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鎮守の境内で、鬼事おにごとを為る時、重右衛門は睾丸が大いものだから、いつも十分に駆ける事が出来ず、始終中しよつちゆう鬼にばかりつて居たといふ事と、山茱萸やまぐみを採りに三峯に行つた時
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
皮の山茱萸やまぐみ一齊に搖る時、樹々は凄じく
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
ここに林のごとく売るものは、黒く紫な山葡萄やまぶどう、黄と青の山茱萸やまぐみを、つるのまま、枝のまま、その甘渋くて、且つすっぱき事、狸がせて、兎が酔いそうな珍味である。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と言う……葉ながら散った、山葡萄やまぶどう山茱萸やまぐみの夜露が化けた風情にも、深山みやまさまが思わるる。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)