山中やまんなか)” の例文
「去年の十二月、来たんですが、山中やまんなかから、はア出て来たもんだで、為体えていが分らないでえら困りやした」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「おや湯婆が這入っているぜ。……やっぱり山中やまんなかは何か工合のいいところがあるな」そんなことを僕がいって、足で触ってみると民顕ミュンヘンあたりの湯婆とは感じが違うから
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
友はその喞筒ポンプの稽古から帰つて来て、いろ/\昔の事や、よくこんな山中やまんなかに来て呉れたといふ事や、余り突然なので吃驚びつくりしたといふ事や、六年ぶりの何ややをほとんど語り尽した後で
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「塩山へかね」と背負籠しよひかごかたはらの石の上に下して、腰を伸しながら、「塩山へは此処からまだ二里と言ひやすだ。あの向ふのでかい山の下にこまかい山が幾箇いくつとなく御座らつせう。その山中やまんなかだアに……」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)