尾上山おべやま)” の例文
いったい自分というものは、伊勢の国の尾上山おべやまの頂から、血を見ざる死刑によって、この世界から絶縁された身の上なのである。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それを知らないのか、この野郎、そうなった日には尾上山おべやまの時とは違って、もうおれの力ではどうすることもできないぞ。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
て、あの尾上山おべやまというのから突き落されて死んだはずだが、それが生き返って、いま両国橋の上に立っているんだから、私は驚きましたよ、幽霊かと思いましたよ
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
僅か幾文いくもんの銭がありさえすれば、自分たちはこの虐待と飢餓から救われることだ——銭があればいいなあ、と米友は、夜の寒空に軒端の縁に腰かけて尾上山おべやまつづきの星を数え
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
また米友は尾上山おべやまの隠ヶ岡で命を拾われて以来、少なくともこの人を大仁者の一人として推服しているのだから、いくら金持だといっても、国のためになる人だからといっても
「どこにいたんだろう、あの犬はありゃ、尾上山おべやまの後ろに隠れていたんだぜ」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
無分別むふんべつで出て来たお君。生れ土地から尾上山おべやまの外へ出たことのないお君。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうだそうだ、それも無理はえ、それから後のことをお前は知らねえのだ。おいらは助かったんだよ、尾上山おべやまから突き落されて、一旦は死んだが、助ける人があって、息を吹き返したんだぜ。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かくれおか尾上山おべやま)に近い荒家あばらやの中で
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)