射垜あずち)” の例文
そして彼が鉄砲の妙手と、景行から聞いていたので、城下の安養寺境内に、射垜あずちを築いて、鉄砲を撃たせてみた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当人の話では、射垜あずちの下へ矢を拾いに行ったときに、悪戯いたずらか粗相か、客の射出した矢がうしろから飛んで来て、なにごころなく振向いたお金の頬をかすったのでこんな疵になったと云うのでした。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今言った蓮池や松林がそこにあって、その蓮池の手前の空地の所に射垜あずちがあって、そこに漱石氏は立っていた。それは夏であったのであろう、漱石氏の着ている衣物きものは白地の単衣ひとえであったように思う。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)