富来とぎ)” の例文
手紙の方は村から一里余離れた富来とぎ町の清左衛門という呉服屋の次男で、つい先頃七尾の或る呉服屋へ養子に行った男から来たのであった。
恭三の父 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
それから富来とぎ増穂ますほ剣地つるぎじ、藤浜、黒島——外浜を段々奥へ、次第に、いわは荒く、波はおどろになって、たいらは奇に、奇はけわしくなるのだそうで。……可心はこの黒島へ出たのです、穴水から。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「今年ゃ七海に神輿みこしを買うて、富来とぎ祭に出初めやさかい、大方家のお父様ねも飲ましとるに違いないねえ。」
恭三の父 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
「どうや、恭公、(富来とぎの市)とどつちが賑やかや?」などと調戯からかひなどした。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)