密告さし)” の例文
そのドサクサに紛れて皇帝を攫って行ったという密告さしを幸田から貰い、飛ぶように駆け戻って来たのである。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
万一密告さしあしめえかと思うと、心配になって来ましたから、今度は自動電話をかけて待っているように命じて引返し、十分に様子を探ってから堂々と玄関の締りを外させ
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「こんな雑兵に掛け合うより、じかにあんたと口をきいた方が早いと思うんだが、ねえ、志摩さん、寝返り代と密告さし賃、それに口銭を合せて、〆ていくら出す?」
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
万一、警察さつ密告さしやしめえかと思って、途中の自働電話から彼奴あいつを呼出して、もう一度用事が出来たからと云っておいて、引返してみたら、約束しておいた玄関のが開かない。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ふとそれを思い出してね、花には気の毒だが、鶴子の方はどうでも花にしょわせてやるつもりで、うまくこしらえて、まず手始めに、「お茶松」で岩井に密告さしてやったんだ。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)