はら)” の例文
其男はリイケを辱めてはらませた男であつた。ドルフは気の毒なリイケを拾ひ上げて、人に対し、神に対して、正当な女房にして遣つたのである。
逗子ずしにある博士の別荘に召使いとして住み込んでいる時分に、ふと博士のたねはらんだのだということや、ある権門からとついで来た夫人の怒りを怖れてそのことが博士以外の誰にも
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
得たり賢し善は急げと、術士得意の左道を以て自ら蛇に化けて一夜を后とともに過ごし、同時に陣中にある王に蛇となって后に遇う夢を見せた。いくさ果て王いよいよ還ると后既にはらめり。
山中に入りたる時しきりに睡眠を催し、異人を夢みることあれば必ずはらむ。産は常の如くにしてたゞ終りてのち神気快からずといえども死ぬやうなことは決して無い。生れた児は必ず歯を生じ且つく走る。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)