姿勢ポーズ)” の例文
電車が、赤坂見附から三宅坂通り、五番町に近づくに従つて、信一郎の眼には、葬場で見た美しい女性の姿が、いろいろな姿勢ポーズを取つて、現れて来た。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
だから、勢よく先きに歩いて來た、N君はいきなり飛越える姿勢ポーズをとつた瞬間、自分は抱きとめてしまつた。
砂がき (旧字旧仮名) / 竹久夢二(著)
それに小石を投げつけてもつと割らうとした、氣狂ひ女の異樣な姿勢ポーズを、頭に再び浮べながら。
水族館 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
常子は茶棚からグラスを取らうと、下についた片手のひらに力を入れ、膝の崩れるまで身を斜にねぢり、片手を伸す其姿と横顔とを、白井は内心好い姿勢ポーズだと感心しながら
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
電車が、赤坂見附から三宅坂みやけざか通り、五番町に近づくに従って、信一郎の眼には、葬場で見た美しい女性の姿が、いろいろな姿勢ポーズを取って、現れて来た。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
數秒の間おなじ背景の前におなじ姿勢ポーズをして立つてゐても、觀る者の心は、息苦しいほど働いてゐるのだ。
砂がき (旧字旧仮名) / 竹久夢二(著)
須田町で降りてぼんやり——さうだ、ぼんやりという姿勢ポーズではあつたが、なか/\ぼんやりしてはゐなかつた。電車や自動車になど脅かされるのがいま/\しいから、銅像の下へ立つてゐたのだ。
砂がき (旧字旧仮名) / 竹久夢二(著)