如意輪にょいりん)” の例文
和泉国の松尾寺まつのおでらでは、かねがね北条退治の如意輪にょいりんほうを修していたところ、ちょうどその満願にあたる日に、千早の囲みが解けたと、その「松尾寺文書」は仏徳をしるしている。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聖徳太子が自ら刻んだという如意輪にょいりん観音の像だけは、寺院の近くに、今にその堂宇どううを残しているのであるが、最近、それが聖徳太子の作ではなく運慶うんけいの作であることが鑑定され
荒雄川のほとり (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
青年期には葛木山にこもって修法錬行れんぎょうし、如意輪にょいりん法、宿曜秘法等に達し、看病薬湯の霊効に名声があった。その法力と、仏道堅固な人格と、二つながら世評が高く、内裏の内道場に召されたのだ。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
私ははじめて有名な如意輪にょいりん観音の思惟の御姿をみたのであった。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「そういえば、如意輪にょいりん観世音がご信仰で、月ごとに、ご参詣に見えておいでだが、この春ごろからお姿を見たことがない。——もしや、お病褥いたつきではないかと、わしらは、案じているのじゃ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)