太腹ふとっぱら)” の例文
彼は一切の汚穢おかいを捨てず、之を摂取し、之を利用する。神程吝嗇爺けちおやじは無い。而して神程太腹ふとっぱらの爺も無い。彼に於ては、一切の不潔は、生命を造る原料である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
馬鹿なことを……飛んでもない、犬にまれるくらいなら、私はお誓さんの薙刀に掛けられますよ。かすりきずも負わないから、太腹ふとっぱららしく太平楽をいうのではないんだが、怒りも怨みもしやしません。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
体量も二十一貫ずッしりとした太腹ふとっぱらで、女長兵衛とたたえられた。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)