大詔たいしょう)” の例文
それから間もなく、大東亜戦争だいとうあせんそうがはじまった。十二月八日、突如、米英に宣戦の大詔たいしょう渙発かんぱつされた。英夫が予想もしなかった大事件である。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
頬ひげをあたつてゐると、大詔たいしょうの奉読、つゞいて、東条首相の謹話があつた。涙が流れた。言葉のいらない時が来た。必要ならば、僕の命も捧げねばならぬ。
真珠 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
◯第四十一回目の大詔たいしょう奉戴日ほうたいび。主婦之友の安居氏来宅中に警戒警報が出て、十一時半空襲警報となる。B29、十数機と、そのあとP51、六、七十機が来襲した。
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
安政五年戊午ぼご 正月、大いに攘夷じょうい論を唱う。閣老掘田正篤まさひろ京都に遊説ゆうぜいす。三月、大詔たいしょう煥発かんぱつ。四月、井伊大老たいろうとなる。六月、勅許ちょっきょたずして、米国条約の調印をなす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
マレー半島に奇襲上陸、香港ホンコン攻撃、宣戦の大詔たいしょう、園子を抱きながら、涙が出て困った。家へ入って、お仕事最中の主人に、いま聞いて来たニュウスをみんなお伝えする。
十二月八日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
維新の大詔たいしょうにもあるが如く、万国と対立せんとするの大方針よりして、あらゆる国家の組織を変更しなければならぬということが起って、廃藩置県となり、幣制の改革と為り
外交の方針 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
日露戦争は終焉を告げ、十月十六日、平和克復の大詔たいしょうが、換発された。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)