大湯おおゆ)” の例文
お十夜はただひとり、のゆるい宿屋の下駄を突っかけて、屋根へ大きな石が幾つものせてある大湯おおゆの浴槽へつかりに出かけた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから熱海へ来て大湯おおゆの前の宿屋で四、五日滞在した後に、山駕籠やまかごを連ねて三島みしまへ越えた。
箱根熱海バス紀行 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
夜は机にむかって原稿などをかく、今夜は大湯おおゆ換えに付き入浴八時かぎりと触れ渡された。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
戸外は秋の灰色に曇った日、山の温泉場はややひまで、この小屋の前から見ると、低くなった凹地くぼちに二階三階の家屋が連って、大湯おおゆから絶えず立ちあがる湯の煙は静かに白くなびいていた。
ネギ一束 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
七月中旬に大湯おおゆ温泉の東栄舘に四、五日滞在して、林治を案内者として駒ヶ岳へ登った、それから林治を連れて銀山平の高橋農場へ着いた、白井が兼ねて依頼しておいた案内者の大久保某は
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
なにしろ、大湯おおゆの横にひッついている湯番小屋で、五刻いつつの拍子木を打ち、導引どういんの笛がヒューと澄む頃までは、このかしましさがやまないのである。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、今頃になれば大湯おおゆの中にも誰もおりはしまい。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)