大樹おほき)” の例文
前途ゆくての路もおぼつかなきまで黒みわたれる森に入るに、もみかしは大樹おほきは枝を交はし葉を重ねて、杖持てる我が手首たなくびをも青むるばかり茂り合ひ、梢に懸れる松蘿さるをがせ鬖〻さん/\として静かに垂れ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
何かは聞えぬ事のあるべき。我が宿やど大樹おほきにはとまりてさへ鳴くものを
すゞろごと (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あなや大樹おほきのやなぐひの
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
寄生木になつて栄えるはきらひぢや、矮小けち下草したぐさになつて枯れもせう大樹おほきを頼まば肥料こやしにもならうが、たゞ寄生木になつて高く止まる奴等を日頃いくらも見ては卑い奴めと心中で蔑視みさげて居たに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)