大寒だいかん)” の例文
あれは私が弘前ひろさきの高等学校にはいって、その翌年の二月のはじめ頃だったのではなかったかしら、とにかく冬の、しかも大寒だいかんの頃の筈である。
チャンス (新字新仮名) / 太宰治(著)
それは冬でも大寒だいかんといういちばん寒い季節きせつでした。この季節になると、この地方は、大人のたけほどの雪がもり、それが春の四月ごろまでとけずにいるのです。
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
大寒だいかんさかりにこの貸二階の半分西を向いた窓に日がさせば、そろそろ近所の家からさけ干物ひものを焼くにおいのして来る時分じぶんだという事は、丁度去年の今時分初めてここの二階を借りた当時
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
大寒だいかんにまけじと老の起居たちいかな
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
炬燵の上にはお料理のおぜんが載せられてある。そのお膳の一ぐうに、雀焼すずめやきの皿がある。私はその雀焼きが食いたくてならぬのだ。頃しも季節は大寒だいかんである。
チャンス (新字新仮名) / 太宰治(著)
大寒だいかんほこりの如く人死ぬる
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)