大塔宮だいとうのみや)” の例文
大塔宮だいとうのみやの昔をしのぶにはちょうどよい土地である。あの時分以来、この十津川郷には南朝忠臣の霊気が残っているはずであります。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それから太平記の大塔宮だいとうのみや熊野くまの落ちの条下に出て来る竹原八郎の一族、———宮はこの家にしばらくご滞在になり、同家の娘との間に王子みこをさえもうけていらっしゃるのだが
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
大塔宮だいとうのみやが吉野に城を築き、楠木正成くすのきまさしげが千早に城を築き、前後して兵を挙げたことである。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今なら舞台監督兼作者となったのが水蔭で、一番目の『つも怨切子燈籠うらみきりこどうろう』という半世話物の仇討劇あだうちげきも二番目の何とか太平記といった大塔宮だいとうのみや吉野落よしのおちを材とした一幕物も皆水蔭の書卸かきおろしであった。
大塔宮だいとうのみや社務所。
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
室の一隅の草刈籠くさかりかごは、大塔宮だいとうのみやがただいまこの中から御脱出になったままのように、書き物があふれ出している。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
間もなく赤坂の城が落ち、大塔宮だいとうのみや様や楠木正成くすのきまさしげが、自害をして果ててしまった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こうして九人の山伏が、戸野兵衛家の客となったが、これは大塔宮だいとうのみやのご一行で、光林房玄尊、赤松則祐のりすけ木寺相模きでらさがみ、岡本三河房、武蔵房、村上彦四郎、片岡八郎、平賀三郎の人々であった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)