大和尚だいおしょう)” の例文
真率なる快活なる宗近家の大和尚だいおしょうは、かく物騒な女があめしたに生をけて、しきりに鍋の底をき廻しているとは思いも寄らぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
横川よかわの僧都は、今あめした法誉無上ほうよむじょう大和尚だいおしょうと承わったが、この法師の眼から見れば、天上皇帝の照覧をくらまし奉って、みだりに鬼神を使役する、云おうようない火宅僧かたくそうじゃ。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
出家しゅっけのいうことでも、おしえだの、いましめだの、説法とばかりは限らぬ、若いの、聞かっしゃい、と言って語り出した。後で聞くと宗門名誉しゅうもんめいよの説教師で、六明寺りくみんじ宗朝しゅうちょうという大和尚だいおしょうであったそうな。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
謎の女はそろりそろりと攪き淆ぜる。手つきさえ能掛のうがかりである。大和尚だいおしょうこわがらぬのも無理はない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)