大口袴おおぐち)” の例文
それにつれて、大床おおゆかの中ほどへすすみ出た観世清次は白の小袖に白地に銀摺ぎんずり大口袴おおぐち穿き太刀を横たえ、じょう仮面おもてをつけていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山蚕織やままゆおりのごつい大口袴おおぐち胴服どうぶくといった姿である。美作びさくの短刀一本、帯の前にたばさみ、腰の坐りもシャンとして折目ただしい。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人招きをしているらしく、蝟集いしゅうする顕官のくるまから、眼もあやなばかり、黄金こがねの太刀や、むらさきの大口袴おおぐちや、ぴかぴかするくつや、ろうやかな麗人がこぼれて薔薇園のにわと亭にあふれているのが
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
走りながら大口袴おおぐちをくくし上げて、まわりの顔へ。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大口袴おおぐちの片脚をあげて、つよく蹴った。そして
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)