塙団右衛門ばんだんえもん)” の例文
それがしは、蒲生がもう浪人の赤壁八十馬あかかべやそま、という者。ごぞんじないか、塙団右衛門ばんだんえもん、あれとは、刎頸ふんけいの友で、共に他日を期している仲。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
塙団右衛門ばんだんえもんほどのさむらいの首も大御所おおごしょの実検にはそなえおらぬか? それがし一手ひとての大将だったものを。こういうはずかしめを受けた上は必ずたたりをせずにはおかぬぞ。……
古千屋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と、いいながら田山白雲は、そのすぐれて長い刀をいじくりまわすところは、どう見ても塙団右衛門ばんだんえもんといったような形で、いやしくも絵筆をとるほどの人とは見えません。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二人ともひげをそるひまもないのか、塙団右衛門ばんだんえもんのような顔をしている。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
九度山には真田左衛門尉幸村さなださえもんのじょうゆきむら、高野山には南部牢人の北十左衛門、法隆寺の近在には仙石宗也せんごくそうや、興福寺長屋には塙団右衛門ばんだんえもん、そのほか御宿万兵衛ごしゅくまんべえとか、小西牢人のなにがしとか、ともかく
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やはり塙団右衛門ばんだんえもんにゆかりのあるものでございました。」
古千屋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
小川中佐は塙団右衛門ばんだんえもんのような顔を、いよいよこわくした。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)