城隍廟じょうこうびょう)” の例文
そのうちに、世高の体は自然とうごきだして、家の外へ出て城隍廟じょうこうびょうへ往った。城隍廟へ往ったところで、世高ははじめて気がいた。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
城隍廟じょうこうびょうのそば、観音庵かんのんあんの家にもどると、彼はすぐさま身支度にかかった。胸に銀甲を当て、琥珀色こはくいろほうに、兜巾ときんをつけ髪をしばる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、かの卒を見知り人にして、他の役人らが付き添って、近所の廟をたずね廻らせると、城隍廟じょうこうびょうのうちに大小の土人形がならんでいる。
これが画端書えはがきでも御馴染おなじみの、名高い城内の城隍廟じょうこうびょうである。廟の中には参詣人が、入れかわり立ち交り叩頭に来る。勿論線香を献じたり、紙銭を焚いたりするものも、想像以上に大勢ある。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
すでに、蔡九の命で彼は牢城の軍卒頭以下一隊の兵を、城隍廟じょうこうびょうの廟前に勢ぞろいさせ、しばらく待てと待たせてあるのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
友恋しさに、彼はその日、城隍廟じょうこうびょうの地内の観音庵かんのんあんに住むたい院長を訪ねてみた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)