坪内つぼうち)” の例文
それ以前から先輩の読み物であった坪内つぼうち氏の「当世書生気質とうせいしょせいかたぎ」なども当時の田舎いなかの中学生にはやはり一つの新しい夢を吹き込むものであった。
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
私の母は、やがて麹町こうじまち三番町さんばんちょうの実弟、坪内つぼうち家の邸内に移ることになった。私はそこで、十五歳まで、母とともに生活した。
私の歩んだ道 (新字新仮名) / 蜷川新(著)
今でこそ謹厳方直な道学先生となって門下に煙がられている坪内つぼうち博士も、春廼舎朧はるのやおぼろ時代にはやはりこの気分が濃厚であったのは雅号でも推量おしはかられよう。
坪内つぼうち先生と、伊原青々園いはらせいせいえん氏と、親類二名へあてた遺書四通を書きおわったのは暁近くであったであろう。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
二葉亭ふたばてい歿後ぼつご坪内つぼうち、西本両氏とはかって故人の語学校時代の友人及び故人と多少の交誼こうぎある文壇諸名家の追憶または感想をい、集めて一冊として故人の遺霊に手向たむけた。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)