坊々ぼんぼん)” の例文
一つは玉置先生や坊々ぼんぼんが自分が行ってしまうのを心もとながるものだから、今しばらく様子を見ることにして休んでいたのであると語った。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
大家の坊々ぼんぼんとしての鷹揚おうようさをてらう様子が見えて不愉快なのであるが、今日は興奮しているらしく、いつもよりもき込んだ口調で云うのであった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
自分は今日では啓ちゃんと云う人間が典型的な船場の坊々ぼんぼんであって、ほんとうに取柄のない詰まらない男であることを誰よりもよく知っているので
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
今のとこ二階の四畳半を坊々ぼんぼんの勉強部屋に使やはったり、娘さんの寝室に使やはったりしてはりますねんもん。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もともと若旦那は奥畑家の坊々ぼんぼんだと云っても三男坊のことであるから、そんなにお金が自由になる身分ではない、それもお家さんの存生中はまだどうにかなったけれども
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そんなことはお前の杞憂きゆうに過ぎない、いくら奥畑が不良青年的傾向があると云っても、そこはお上品な坊々ぼんぼん育ちであるから、まさか無頼漢じみた真似まねなんか出来ないであろうし
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
容貌ようぼうが端正で儀礼や身嗜みだしなみの心得のある者、と云うことなので、つまりお上品な坊々ぼんぼんでさえあれば頭は少しぐらい低能でもよい、と云うのであるから、全く啓ちゃんに持って来いの口なのである。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
先はMいう大阪でも有名なお金持の家の坊々ぼんぼんで、光子さん自身は気イ進んでおられなかったそうやのんですが、お宅ではたいそうその縁談望んでおられたし、先方でも光子さん欲しがっておられた。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)