地隙ちげき)” の例文
地隙ちげきというものがある。地球を人体にたとえるなら、そのひびかアカギレみたいなものと思えばいい。それが行軍路の随所にあった。
狂い凧 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
地隙ちげきを這い出る数億のありの行列の一匹一匹に青空一面の光りを焦点作らせつつジリジリと真夏の白昼まひるの憂鬱を高潮させて行った。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
だが、時間がたつに従って、一座は、今日の爆撃がたまたま地隙ちげきを縫って、深い地下に達したというようなまぐれあたりのものでないことに気がついたのだった。
だからこの警報を聞いたら、大急ぎで、反対の側の山かげや地隙ちげきにかくれるとか、または本艇へかけもどって来れば、一そう安全だ。だから君たち、心配はいらないんだよ
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)