園子そのこ)” の例文
早朝、蒲団の中で、朝の仕度に気がせきながら、園子そのこ(今年六月生れの女児)に乳をやっていると、どこかのラジオが、はっきり聞えて来た。
十二月八日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
結婚後に生れた長男の求太郎きゅうたろうは、もう九歳にもなり、長女の雪子は十二。次女の園子そのこは三ツ。「一姫二太郎」という順に、人にも羨まれるような子持でもあった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
余り馬鹿馬鹿しい様なことなので、自宅に帰っても、夫人の園子そのこに打明けることを差控さしひかえた。つまらぬことを云い出して、又母を泣かせるでもないと思ったからだ。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
園子そのこ様おたっしゃでおいでなさればよいが」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
園子そのこさまと御一緒に薬湯やくとうをさしあげておき、折々、お見舞いしても、さしたる御容体にも見えなかったが……急に大熱を発しられたので、家人に訊いてみると、殿の御一身にもかかわる事件ということを
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)