国木田独歩くにきだどっぽ)” の例文
国木田独歩くにきだどっぽの如きは実にその一人であって、独歩一派の自然主義運動は実にこの『あいびき』と『めぐりあい』とに発途しておる。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
国木田独歩くにきだどっぽがその名篇『武蔵野』を著したのもたしか千駄ヶ谷に卜居ぼくきょされた頃であったろう。共に明治三十年代のことで、人はまだ日露戦争を知らなかった時である。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
現に同じ宿やどの客の一人、——「な」の字さんと言う(これは国木田独歩くにきだどっぽの使った国粋的こくすいてき省略法に従ったのです。)薬種問屋やくしゅどいやの若主人は子供心にも大砲おおづつよりは大きいと思ったと言うことです。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
日本の作家では夏目先生のものは別として国木田独歩くにきだどっぽ谷崎潤一郎たにざきじゅんいちろう芥川竜之介あくたがわりゅうのすけ宇野浩二うのこうじ、その他数氏の作品の中の若干のもの、外国のものではトルストイ、ドストエフスキーのあるもの
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
平尾不孤ひらおふこ畠山古瓶はたけやまこへい山下雨花やましたうか加藤唖蝉かとうあぜん田中稲月たなかとうげつ玉井一二郎たまいいちじろう国木田独歩くにきだどっぽ永井定太郎ながいさだたろう山田桂華やまだけいか桃中軒雲右衛門とうちゅうけんくもえもん渡辺亮輔わたなべりょうすけなど、多くの知人や友人を、結核菌のために失っている僕も
友人一家の死 (新字新仮名) / 松崎天民(著)
国木田独歩くにきだどっぽを恋に泣かせ、有島武郎ありしまたけおの小説に描かれた佐々木のぶ子の母の豊寿とよじゅ夫人はその頃のチャキチャキであった。沼南夫人はまた実にその頃の若い新らしい側を代表する花形であった。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「これは国木田独歩くにきだどっぽです。轢死れきしする人足にんそくの心もちをはっきり知っていた詩人です。しかしそれ以上の説明はあなたには不必要に違いありません。では五番目の龕の中をごらんください。——」
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
唖々子の眼より見て当時の文壇第一の悪文家は国木田独歩くにきだどっぽであった。
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)