国府こふ)” の例文
旧字:國府
佐渡の国府こふ雑太さわたという所にある。正道はそこへ往って、役人の手で国中を調べてもらったが、母の行くえは容易に知れなかった。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
武生たけふ国府こふに』(われはありと親には申したれ)においでになっても、私はそっと行きますよ。つまらぬ身の上ですから、それだけはあなたのために遠慮されますがね
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
みちのくち、武生の国府こふに我はありと、親には申したべ、心あひの風や、さきむだちや
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
愛知県中学校長を免ずる辞令は二月十四日を以て発せられた。保はしば烏森町からすもりちょう一番地に家を借りて、四月五日に国府こふからかえった母と水木みきとを迎えた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
保は国府こふに来てから、この準平と相識になった。既にして準平が兄弟けいていになろうと勧めた。保はへりくだって父子になる方が適当であろうといった。遂に父子と称して杯を交した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
保は十二月九日学校の休暇を以て東京にった。実は国府こふを去らんとする意があったのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)