喫驚びっく)” の例文
細川が入って来てもかしらを上げないので、愈々いぶかしくく見るとあおざめたほおに涙が流れているのが洋燈ランプの光にありありとわかる。校長は喫驚びっくりして
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
しかし女が立ち止まり、「ここが邸でございます。主人からもお礼を申させます。どうぞお立ち寄りくださいまし」と、一軒の屋敷を指さした時には、喫驚びっくりせざるを得なかった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
噂をすれば影とやらで、ひょっくり自分が現われたなら、升屋の老人喫驚びっくりしていた口がふさがらぬかも知れない。「いったい君はどうしたというんだ」とやっとのことで声を出す。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「あいつにゃおいらも喫驚びっくりした。こう全然まるで猿猴えてこうだったからな」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)