善光寺平ぜんこうじだいら)” の例文
クジナの行われている善光寺平ぜんこうじだいらなどにも、やはりガンボジという名が知られているのを見ると、これは花の方をさしていたものらしい。
中仙道から北国路、善光寺平ぜんこうじだいらも過ぎました。道中は、加賀の藩のさる貴人というふれ込みで、前田家の関手形せきてがたも持っている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの山裾やますそが、左の方へ入江のように拡がって、ほんのり奥にあかりが見えるでございましょう。善光寺平ぜんこうじだいらでございましてね。灯のありますのは、善光寺の町なんでございますよ。」
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こうして、伊那丸主従いなまるしゅじゅうは、信濃しなのの山をえて、善光寺平ぜんこうじだいらをめぐり、諏訪すわをこえて、また甲州路こうしゅうじへ足をみ入れた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さらば、善光寺平ぜんこうじだいらへさして、ひた走りに、急ごう。あとは、夜の匿れ家でも見つけた上の思案として」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やっと、善光寺平ぜんこうじだいらへ出て、人々はややほっとした。しかし、あれから松本の里へ出て、木曾路の通路かよいじをたずねると、今はまだ、猟師りょうしさえ通れない雪だというのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)