唯我独尊ゆいがどくそん)” の例文
日本は唯我独尊ゆいがどくそんではならぬこと、日本以外に勢力強大にして、かも野蛮ならざる文明開化の国々のあることが知れた。
おぎんは釈迦が生まれた時、天と地とを指しながら、「天上天下てんじょうてんげ唯我独尊ゆいがどくそん」と獅子吼ししくした事などは信じていない。
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この渾沌たる幻想はようやくにして流動する生命にはらまれる白象の夢となるのである。新たなる言葉が陣痛する。托胎たくたいの月満ちて、唯我独尊ゆいがどくそんを叫ぶ産声うぶごえがあがる。
何先生は、どうだって、あなたは唯我独尊ゆいがどくそんのお態度で、てんで無関心の御様子だったではありませんか。
きりぎりす (新字新仮名) / 太宰治(著)
利己主義的な無政府主義は、人間を本質的に利己主義者だとしながら、しかも無政府を唱えるのであるが、それはすなわち強者の利己的な唯我独尊ゆいがどくそんの対立状態をよいとすることになろう。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
誰れに恐れる事もへつらう事も入らぬ、唯我独尊ゆいがどくそんの生涯で愉快だろうと夢のような呑気のんきな事を真面目に考えていた。それで肺炎から結核になろうと、なるまいと、そんな事は念頭にも置かなかった。
枯菊の影 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「——天上天下唯我独尊ゆいがどくそん
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)