呪詛じゆそ)” の例文
而してヤスナヤ・ポリヤナの老伯が近代文明呪詛じゆその声として、その一端をかの「芸術論」にあらはしたるに至りては、全く賛同の意を呈する能はざるなり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
官憲が丁度よく私と外界とを遮斷してくれますから、私に對するあらゆる讒謗ざんばうも、呪詛じゆそもなくなつてしまひませう。その代り私が歸つて來ましたら……。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
母子の間には不可思議な呪詛じゆそがあつた。人一倍求愛心の強い圭一郎が何時も何時も求める心を冷たく裏切られたことは、性格の相異以上の呪ひと言ひたかつた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
何の呪詛じゆそか、何の因果いんがか、どうしても一生地の底から上には出る事が出来ないやうに運命づけられた小坊主が、たつた一人、静かに、……鉦を叩いて居る、一年のうちで只此の秋の季節だけを
入庵雑記 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
誰かみづから省れば脚にきずなきものあらんや。僕の如きは両脚りやうきやくの疵、ほとんど両脚を中断せんとす。されど幸ひにこの大震を天譴てんけんなりと思ふあたはず。いはんや天譴てんけんの不公平なるにも呪詛じゆその声を挙ぐる能はず。
と邪氣沸々たる呪詛じゆその文句です。