周章者あわてもの)” の例文
その有様は、見物に向って喧嘩を売るような調子でしたから、一時は見物もみんな呆気あっけに取られているとくだん周章者あわてものは、いよいよき込んで
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
然しながらそういう人々は階級藝術の意義を遂に理會し得ず、調子に浮かされて吾知らずその運動の中へ飛びこんでいる周章者あわてものに他ならぬのだ。
文芸運動と労働運動 (旧字旧仮名) / 平林初之輔(著)
先へ先へとく心が私の瞳を周章者あわてものにするのです。一度二度と繰り返し読みますとお言葉がはつきりして来て、今度は一句々々楽しく読ませて戴きますの。
〔婦人手紙範例文〕 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
周章者あわてものと言って貰いたいね。うん、ビールだ。あはは……」
世相 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
楽屋の周章者あわてものは、真青まっさおになってまたののしりかけた時、十余人の川中島の百姓たちが、気をそろえて舞台の上へ飛び上ったから、またまた問題がブリ返りました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
結局、その十余人の川中島の百姓たちが、くだん周章者あわてものを引ッ捕えて、百姓呼ばわりを充分に糺問きゅうもんしました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)