呉織くれはとり)” の例文
ああ目覚めざましいと思う目に、ちらりと見たのみ、呉織くれはとり文織あやはとりは、あたかも一枚の白紙しらかみに、朦朧もうろうえがいた二個ふたつのその姿を残して余白を真黄色に塗ったよう。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と云ふよりは呉織くれはとり綾織あやはとりから川島甚兵衛に至るまで、上下二千年の織工史を通じて、如何なる地歩を占むべきものか、その辺の消息に至つては、がうもわからぬと云ふ外はない。
竜村平蔵氏の芸術 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)