吾木香われもこう)” の例文
見ばえのせぬ吾木香われもこうなどという香のあるものを霜枯れのころまでもお愛し続けになるような風流をしておいでになるのであった。
源氏物語:44 匂宮 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いま、君の手紙を封筒に返さうと思つたら、底の方に吾木香われもこうの花のはいつてゐるのに気がついた。
母たち (新字旧仮名) / 神西清(著)
直江主水氏康と娘松虫に送られて、土屋庄三郎昌春は蔵人くらんどの屋敷を出発した。土用明けの富士の裾野、鍵手ヶ原は朝もや立ちこめ桔梗、女郎花おみなえし吾木香われもこうなど、しとどに露に濡れている。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)