吊臺つりだい)” の例文
新字:吊台
「ところで源助さん、あの吊臺つりだいを擔いで谷中へ行つた人足の名前が此處にはないやうだが、解つてゐるだらうね」
「町内の十一屋に頼みました。駕籠や吊臺つりだいぢや面白くないから、古風に飾り馬にしようといふ話で——」
「三千兩の吊臺つりだいは何處に置いたんだ。最初は店先、喧嘩が始まつたんで奧へ入れた——成程ね。それから大雨だらう、——雨が先か、喧嘩が先か、三千兩の吊臺が先か」
その上無くなつた千兩箱が、私共の離屋に預つた吊臺つりだいから出て來ましたので、妙に氣まづいことになり、昨夜などは伜をはじめ私共まで、一と晩見張られて居たやうなもので
千兩箱の吊臺つりだいかついで來た人足は、のあるうちに、番頭の源助と一緒に深川へ引取つた。
二臺の吊臺つりだいで富坂町の千本殿御住居に持込んだのは三日前、何分身にも世にも換へ難い大事の品ではあり、一刻も目を離すわけに行かないので、主人名代として拙者が詰めかけ、千本殿共々
奉納の品々はそれ/″\三方に載せて吊臺つりだいに納め、島五六郎自身前驅を承はり、千本金之丞は後衞として、半藏門を立ち出で、足輕十騎を從へて、富坂町の此處へ落着いたのは三日前の夕刻
先祖の菩提ぼだい寺なる春徳寺改築のために、祠堂金しだうきん三千兩を寄進することになり、その日出入りの鳶頭かしらが宰領で人足に擔がせた吊臺つりだい、三つの千兩箱を積み、阿波屋三郎兵衞夫婦が、娘お由利とともに
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)