台詞ぜりふ)” の例文
旧字:臺詞
「それなら勝手にそこで何時間でも待っていたらよかろう」という棄て台詞ぜりふで書記官はそのまま奥へ姿を消してしまった。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
青年たちが省線で帰るにつけて、ふと思いついたふうにも見えたが、庸三もいつもの気持で送り出しもしなかったし、葉子も何か台詞ぜりふめいた言葉をのこして出て行った。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
いつも、捨て台詞ぜりふ凄文句すごもんくは、弱者のてれかくしと極まっている、そこで雲をかすみという文字どおりに、二人は一散に逃げ出しました。——逃げるに逃げいい武蔵野の原を。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お芝居などでもよくるやつでございますが、ず初めにお姫さまが金魚のうんこほどぞろ/\腰元をつれ、花道で並び台詞ぜりふがすみ、正面の床かあるは引廻したる幔幕まんまくのうちへ這入る
と遠くの街道みちからこのとき捨て台詞ぜりふの流れてくるのに、振りかえってみれば。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)