古船ふるぶね)” の例文
そうじゃねえとは言わねえ。ともかくだれ一人気をつけていた者はなかったんだ。で、外を見ると、驚いたな! あの古船ふるぶねはいねえんさ。
が、ふなべりをめてふやうに、船頭がかんてらを入れたのは、端の方の古船ふるぶねで。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「船を乗り上げるにゃ持って来いのとこがあらあ。細かな平たい砂地で、ちっとの風もねえし、ぐるりにゃあずっと樹があるし、あの古船ふるぶねの上にゃ庭みてえに花が咲いてるぜ。」