又聞またぎ)” の例文
そのような大小不揃ふぞろいの物があるわけはないから、すなわちこれも又聞またぎきの場合の掛値かけねであったことを、想像しえられるのである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
筑前がさい前、得意になって話された大明だいみんの知識は、於福が幼少のとき、父の茶わん屋捨次郎から聞いたはなしの又聞またぎきではないかの。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又聞またぎきにしたくらいの人の秘密をおもしろ半分に振り回し、下世話げせわにいう肘鉄ひじてつを食わせたはしたない女の話なぞに興がって
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さっきお話の本町の彦三郎の娘のこと、つい小僧から又聞またぎきでございまして、まことに失礼を致しました。
子供達からの又聞またぎきだが、話の中のいくつかの出来事から、わたしは、少くともそう判断したのさ。
もっとも自分も又聞またぎきであるから断然とこうであろうとはいえぬが、調査した人はある種の役人であったから、こういうふうな口碑伝説にはおおいに重きをおかなかったかもしれぬ。
東奥異聞 (新字新仮名) / 佐々木喜善(著)
話が又聞またぎきで、これ以上の事は何も分らない。この事を聴いた時には、すぐにも瀬戸へ出かけて、も少し前後の様子を尋ねたいと思ったが、何分なにぶんにも暇がなかった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)