卑弥呼ひみこ)” の例文
不弥うみの宮には、王女卑弥呼ひみこの婚姻の夜が来た。卑弥呼は寝殿の居室で、三人の侍女を使いながら式場に出るべき装いを整えていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
天照大神あまてらすおおみかみがそうである。崇神すじん天皇がそうである。邪馬台やまたい卑弥呼ひみこもそうである。かくて国家の統一は「祭事の総攬そうらん」において遂げられた。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
日本国の始まりはアマテラス大神おおみかみで、下って卑弥呼ひみこという女の王様が九州で幅をきかせていたよしであり、当今デモクラシーの新日本となってたちまち三十何人だかの婦人代議士が現れ
インチキ文学ボクメツ雑談 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
反絵はんえは閉された卑弥呼ひみこの部屋の前に、番犬のようにかがんでいた。前方の広場では、兵士つわものたちが歌いながら鹿の毛皮をいでいた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
奴国なこくの宮では、長羅ながら卑弥呼ひみこを失って以来、一つの部屋に横たわったまま起きなかった。彼は彼女を探索に出かけた兵士つわものたちの帰りを待った。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)