千々石ちぢわ)” の例文
単純な説話で置いたらまだしも、無理に場面をにぎわすためかき集めた千々石ちぢわ山木やまきの安っぽい芝居しばいがかりやら、小川おがわ某女の蛇足だそくやら、あらをいったら限りがない。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
景色のいい千々石ちぢわ湾の海岸をバスに揺られて小浜おばま諫早いさはやへ出て帰るつもりで計画スケジュールを立てていたのです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
これが、天正遣欧使の一人——千々石ちぢわ清左衛門直員なおかずから始まっている、降矢木家の紋章なんだよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
四百年の昔に、千々石ちぢわ清左衛門がフィリップ二世から拝領したという梯状琴クラヴィ・チェンバロは、その後所在を誰一人知る者がなかったのだよ。たぶんあの音は、たれたいとが、震動でふるえ鳴ったのだろう——。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)