十力じゅうりき)” の例文
きゅうに声がどこか別の世界に行ったらしく聞こえなくなってしまいました。そしていつか十力じゅうりき金剛石こんごうせきおかいっぱいに下っておりました。
「来た来た。ああ、とうとう来た。十力じゅうりき金剛石こんごうせきがとうとう下った」と花はまるでとびたつばかりかがやいてさけびました。
「その十力じゅうりき金剛石こんごうせきは春の風よりやわらかく、ある時はまるくあるときはたまごがたです。きりより小さなつぶにもなれば、そらとつちとをうずめもします」
ああ全くたれがかしこくたれがかしこくないかはわかりません。ただどこまでも十力じゅうりきの作用は不思議です。ここはもういつまでも子供たちの美しい公園地です。どうでしょう。
虔十公園林 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)