医師せんせい)” の例文
旧字:醫師
ぼうとしていたあかりが動いて、直ぐに台附の洋燈ランプを手にした、浴衣の胸のはだかった、扱帯しごきのずるずるとある医師せんせいが、右を曲って、正面へ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
古来、仏陀ほとけのことを「医王」と申しておりますが、「満天下の医師せんせいたちよ。すみやかに医王ほとけとなれ!」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
女房はそれを聞くと一ペンに血が上がって、医師せんせいが間に合わぬうちに歯を喰い締めて息を引き取った……というので文作のうちの中には、村の女房達がワイワイと詰めかけている。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……と寝台の横手、窓際に卓子テエブルがあるのに、その洋燈ランプせながら話したが、中頃に腰を掛けた、その椅子は、患者が医師せんせい対向さしむかいになる一脚で
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その心は色に出て、医師せんせいは小松原一人は遣らなかった。道しるべかたがた、介添かいぞえに附いたのは、正吉と云うわかい車夫。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)