匇忙そうばう)” の例文
しかしいざ書かうとなると、匇忙そうばうの際でもあり、どうも気乗りがしませんから、この手紙で御免ごめんかうむりたいと思ひます。
僕も大抵たいていの売文業者のやうに匇忙そうばうたる暮しを営んでゐる。勉強も中中思ふやうに出来ない。二三年ぜんに読みたいと思つた本も未だに読まずにゐる始末しまつである。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかしかく李九齢りきうれいは窓前の流水と枕前の書とに悠悠たる清閑せいかんを領してゐる。その点は甚だ羨ましい。僕などは売文に餬口ここうする為に年中匇忙そうばうたる思ひをしてゐる。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)