加賀国かがのくに)” の例文
「勧進帳」で左団次の富樫とがしが舞台に出ると、例の「加賀国かがのくにの住人……」の台詞せりふがひどくふるえたということや、「忠臣蔵」三段目の裏門外へ駈け付ける家橘の勘平が
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今は何をか包みましょう、拙者は加賀国かがのくに前田家中にて梅本又次郎うめもとまたじろうと申す未熟者でござるが、藩主前田侯より古中条流の秘伝を会得して参れという命を受けて参りました。
半化け又平 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
旅から旅を歩いているうちに、宮内は加賀国かがのくに小松こまつで豊かなくらしの家へ入夫にゅうふした。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
その間にも、月日はいつか過ぎて、三年ばかり経った頃、加賀国かがのくにの生れだと名乗る一人の年若い白拍子が、彗星すいせいのように現れた。ほとけという変った名前を持つ、まだ十六歳のうら若い乙女おとめであった。