剛子つよこ)” の例文
窓の外で、剛子つよこ、と呼ぶ声がする。沼間ぬま夫人だ。沼間夫人は社交室に『キャラコさんの恋人』がいるので、嫌がってはいってこないのだ。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
夫人はジャンヌさん、娘はイヴォンヌさんといって、今年ことし十七歳になる。朝露あさつゆをうけた白薔薇といった感じで、剛子つよこはたいへんこのお嬢さんが好きだ。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
剛子つよことは妙な名前だが、これは剛情の剛ではない。質実剛健の剛である。長六閣下は、これからの女性は男のいいなりになるようなヘナヘナではいかん。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「うちの馬鹿どもとちがって、剛子つよこはほんとうにりっぱな娘です。あたしゃ、ほんとうに日本一だくらいに思っているんだ。夫人おくさん、あなたの前だけど……」
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「ええ、それは、もう、ちゃんとお願いずみなの。……新聞記者がつめかけてきてたいへんだから、東京へ帰らずに、まっすぐそちらにいらっしゃいって。……ね、剛子つよこさん、お願いしてよ」
剛子つよこのこれからのことは、ひとえに、剛子の精神の上にかかっているのです。
「茜さん、あたしよ。……剛子つよこよ」