刺毛さしげ)” の例文
そしてその尾の端で宙にぶら下つてゐる。其の幼虫は蕁麻の上に住んで、その毒のある刺毛さしげがあるのもかまはずに、其の葉を食べるのだ。
それは胡麻白の頭と金茶の胸毛と真黒な翼とを持つた小鳥で、両肩のあたりに真白な刺毛さしげが際立つて光つてゐるので、まるで紋付羽織でも一着に及んでゐるやうな恰幅だ。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
蕁草いらくさ刺毛さしげいらわれるような遣瀬なさで、痒味つら味は何にたとえようもないほどであった。しばらくの間は袴の上から押抓おしつねってなだめていられたが、仲々もって左様なちょくなことではおさまらない。
玉取物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)