刀剣かたな)” の例文
旧字:刀劍
国民党の脱会者だつたら、思ひ出すたびに、持前の唐辛からしのやうな皮肉を浴びせ掛けるのだが、相手が刀剣かたなであつてはさうも出来ない。
やり刀剣かたなや、投げ縄、弓矢。棍棒こんぼうかついだ役人共が。かたぱしから頭を砕いて。手足胴体チリチリバラバラ。焼いて棄てたり樹の根に埋めたり。ちょうどこの節おかみでなさる。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
刀剣かたなはそのまゝくるめて久原家の土蔵に持込まれたが、流石に三十年の間朝夕手馴れたものだけに、犬養氏も時々は思ひ出してついほろりとする。
それ以来犬養氏は、刀剣かたなが恋しくなると、手近の押形を取り出してそれを見る事にめてゐる。