出発たっ)” の例文
旧字:出發
不実に考えりゃア、無断だんまりで不意と出発たって行くかも知れない。私はともかく、平田はそんな不実な男じゃない、実に止むを得ないのだ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
「どうするものか真赤な顔をして逃げてって了うた、それから直ぐ東京を出発たっ何処どこへも寄らんでずんずんもどって来た」
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
... 見ると大悦びで直ぐ出発たって来たと見えて今晩此方こっちへ着くという電報が来た」小山「そうかねそれは大層急だ。御両親お揃いで御出京かね」大原「そうだろうと思う。僕の父の名で電報が来たからくわしい様子は分らんけれども多分母も一緒だろう」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
『いや僕は東京だが、今日きょう東京から来たのじゃアない、今日はおそくなって川崎を出発たって来たからこんなに暮れてしまったのさ、ちょっと湯をおくれ。』
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
同勢十一人、の十時ごろ町を出発たった。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)