出刃でば)” の例文
お浜さんが一応疑われるわけさ、が、正面から咽喉笛のどぶえへ突き立てた出刃でばが、後ろへ突き抜けるほど深く刺してあるんだぜ、全く恐ろしい力だ。
白髪しらがをパッと顔へかけ、よごれた白い行衣を着、手に磨ぎ澄ました出刃でばを持った老婆が、上りかまちから半身をのぞかせ、口を開けて笑いかけた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
法達が庫裡くりの方へかけこむと、八助は庭先の流れへ、すぐ、出刃でばとまな板を運んで来て、鯉の作り身にかかっています。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あのつらからして強盗づらでさあ!」とソバケーヴィッチが言った。「あいつに出刃でばでも持たせて街道筋へおっ放してみなされ、すぐに人殺しをやるから。 ...
この車だって昨夕ゆうべ人殺しをするための客を出刃でばぐるみ乗せていっさんにけたのかも知れないと考えたり、または追手おっての思わくとは反対の方角へ走る汽車の時間に間に合うように
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
連れて釣り上がった浮藻の半身の、乳の下を目がけて出刃でばでガバと!
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)