凭掛もたれかか)” の例文
だが、そこには栗鼠の毛皮の外套をつけた、僕にたいする敵愾心てきがいしんを青ざめた顔面に浮べた女性が寝台の柱に凭掛もたれかかっていた。
半ば渡った処、御城に向いた、欄干に、松を遠く、船を近くたたずんで、凭掛もたれかかったが、じっとして頬杖をいて、人の往来ゆききも世を隔てたごとく、我を忘れた体であった。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おどかしては不可いけない。何、黒山の中の赤帽で、そこに腕組をしつつ、うしろ向きに凭掛もたれかかっていたが、宗吉が顔を出したのを、茶色のちょんぼりひげはやした小白い横顔で、じろりとめると
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)